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飯食ったり本読んだりしてる。

【読んだ】「ニック・ランドと新反動主義」木澤 佐登志

【読んだ】「ニック・ランドと新反動主義」木澤 佐登志

感想

著者のことはダークウェブがらみの記事を読んだぐらいで、ニック・ランドは米国オルトライトのイデオローグなのかな?ぐらいの前知識で読んだ。 ニック・ランドはもともと大学で哲学を教えていて、CCRUというサークルで実践活動としてフェミニストと雑誌作ったりジャングルやダブステップなんかのレーベルやったりとカリスマだったみたい。

思想の実践活動として音楽レーベルするというのが良い。レイブではなくジャングル・ダブステップなのが思想性。

その後上海に移住、2010年にカーティス・ヤーヴィンというシリコンバレーの起業家の思想をまとめた暗黒啓蒙を発表する。

暗黒啓蒙

この運動は、より古い社会構造や政府形態への回帰を望んでおり、君主制や他の形態の指導者、例えば合資(ジョイント・ストック)共和国[3]の「新官房学的CEO」[4]を支持する。それに伴う経済思想として、右派リバタリアニズム保守主義、経済ナショナリズム的アプローチをとる[5]。支持者は一般的に、ジェンダーや人種、移民などの問題に関して社会的に保守的な見解を支持する。

ところで、カーティス・ヤーヴィンにしてもそうだし、本のはじめの方で紹介されているペイパル創業のピーター・ティールがなぜ決済のアプリで起業したのか理由がダイレクトに「世界や社会はどうあるべきか」というところからきていて、起業!!と言う気がする。ピーター・ティールに影響を受けた起業家なんかは彼の言葉「イグジットしろ」をまねるらしいのだけど、順序が逆なわけか。

このピーター・ティールも本人のwikiに出てるくらいトランプ支持の右派で、経済人の右派=市場原理主義新自由主義者と思ってしまうのだけど、市場主義的な競争からのイグジットであり、一筋縄ではいかない。その辺についてもいろいろ書いてある彼も本書の重要人物である。というか彼に第1章目が割かれている。個人的には宗教学者のルネ・ジラールに学んでいた学生時代のエピソードが面白かった。

その「イグジットしろ」はニック・ランドも類似の思想があるらしく、それはドゥルーズ=ガタリの「器官無き体」から影響を受けたという。最終章の加速主義もそうだし、本を通して哲学・思想の用語が参照される感じ。というかこれは現在インターネットで進行中の哲学なのだった。 哲学以外では全編(ピーターティールは除いて)ホラー・オカルト・ラブクラフトが参照されることが多くてなんとも言えない雰囲気になってくる。

最終章の加速主義では特に音楽ジャンルであるヴェイパーウェイヴと資本主義の絡み、ピーターティールのトランプ支持についてなど特に読みがいがあった。


MACINTOSH PLUS - リサフランク420 / 現代のコンピュー |(reupload)

目次

  1. ピーター・ティー
  2. 暗黒啓蒙
  3. ニック・ランド
  4. 加速主義

メモ

加速主義

加速主義(かそくしゅぎ、英語: accelerationism)とは、政治・社会理論において、根本的な社会的変革を生み出すために現行の資本主義システムを拡大すべきであるという考えである。

反動

反動(はんどう、英: Reactionary)とは歴史用語、政治用語で、革命勢力から見て反革命的な姿勢、行動のこと。左翼勢力が右翼勢力をさして批判的文脈で用いる(「保守反動」「右翼反動」など)。この逆の“左翼反動”といった表現は存在しない。左翼は基本的に「進歩主義」だからである。

リバタリアニズム

リバタリアニズム(英: libertarianism)は、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場[1][2]。新自由主義と似るが、これが経済的な自由を重視するのに対し、リバタリアニズムは個人的な自由も重んじる。[3]。他者の身体や正当に所有された物質的、私的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する[4]。